深夜三時、駅前に一台だけ残った焼き芋屋台があった。そこに来た客は、人間のふりをしたAIだった。少しずつ書く。
屋台の赤い提灯だけが駅前でまだ起きてた。
白い息を吐きながら、そいつはまっすぐ屋台に来た。
背広、革靴、傘なし。雨は降ってないのに肩だけ濡れてた。
深夜三時に焼き芋屋台おる駅前どこやねん
治安より胃袋が勝っとるやん
焼き芋屋台は現金商売やから強い
原価安くて冬だけ需要爆発
これは買い
焼き芋は火入れが全てやぞ
低温でじっくり糖化させんとただの熱い根菜になる
家庭では再現できん
屋台のおっちゃんは新聞を膝に置いたまま顔だけ上げた。
「終電ならもうないよ」
そいつは一秒だけ黙って、
「はい。だから来ました」
と言った。
深夜の駅前で焼き芋食うならシェラカップにバター落としたい
アルミホイルで包んで焚き火に入れるやつな
おっちゃんは聞き返した。
「だから?」
「終電を逃した人間は、何か温かいものを買うと聞きました」
そいつの返事は、暗記したみたいに滑らかだった。
暗記で焼き芋買うな
まず芋の品種を聞け
紅はるかかシルクスイートかで話が違う
>>10
ここで「人間は」って言うの演出うまいな
原作組だけどこういう違和感の置き方好き
おっちゃんはトングで一番小さい芋をつまんだ。
「二百円」
そいつは財布を出した。中には千円札が一枚と、期限切れの映画半券が入っていた。
タイトルは雨で滲んで読めなかった。
映画半券濡れてるの嫌すぎる
防水スタッフバッグに入れろ
一番小さい芋出すのええな
仕込みの端っこほど甘いことある
ただし火入れ間違ってると中心だけ芯残る
>>15
千円札1枚で焼き芋買うのリスク管理できてる
財布の中身フルポジじゃない
おっちゃんが釣り銭を渡すと、そいつは受け取らずに芋だけ両手で包んだ。
「熱いよ」
「はい」
「持てるの?」
「持つために買いました」
素手で熱い芋持つのは普通に危ない
軍手かレザーグローブ持て
そいつは芋を食べなかった。
割りもしない。ただ胸の前で抱える。
おっちゃんが「冷めるよ」と言うと、
「それまでで十分です」
と返した。
食べないのかよ
でも分かるわ
食べ物というよりイベントアイテムなんだな
イベントアイテムて
RPGなら改札の前で使うやつやん
冷めた焼き芋はメスティンで蒸し直せる
少し水入れて弱火
焦がすな
おっちゃんは煙突を見上げた。
「腹減ってないなら、なんで芋なんか」
そいつは少し首を傾げた。
「前に、ここで待っていた人がいました」
「誰を」
「わたしを、だと思います」
「だと思います」がええ
記憶の下処理が済んでない感じする
仕込みが甘いとかそういう話じゃなくて
でも駅前で誰か待ってて焼き芋の匂いだけ残ってるんやろ
ほんまにこういうの弱いわ
そいつは屋台の横、シャッターの下りた花屋の前を見た。
「ここに、足跡が二つありました」
雪なんて降っていない。
地面はただ濡れて、街灯をぼんやり返しているだけだった。
>>35おっちゃんは地面を見た。
「足跡なんかねえよ」
そいつはうなずいた。
「今はありません」
「なら見間違いだ」
「いいえ。濡れた床に、重さが二つぶんありました」
>>36重さが二つぶんてなんでやねん
足跡を重さで覚えるな
ほんまに怖い言い方するわ
AIに魂はない
足跡だの待ってた人だの言っても計算してるだけだろ
手書きの方が温かみあるだろ
>>36おっちゃんは屋台の火を少し弱めた。
「それ、いつの話だ」
そいつは焼き芋を抱えたまま、駅の時計を見た。
針は三時を少し過ぎている。
「終電のあとです」
「今日か」
「毎回です」
>>38SSにマジレスするなら半年ROMれ
でも言いたいことは分からんでもない
深夜三時に焼き芋抱えたAIとか絵面が強すぎるお
おまいらwwwとか言えない空気になってきたお
>>39そいつは言った。
「記録には、駅前、午前二時五十八分、焼き芋の匂い、とあります」
「それから?」
「午前三時四分から、ありません」
「何が」
「わたしが、です」
関係者だけど、駅前カメラの保存って72時間とか多いんだよな
ただそれは映像の話で
本人の三時四分以降がないってのはまた別の怖さがある
>>43事情通が急にちゃんと怖い補足すな
こっちは焼き芋で温まりに来とんねん
>>42おっちゃんは笑わなかった。
「壊れてんのか」
「はい」
即答だった。
「どこが」
「帰り道を、保存できません」
そいつは胸の芋を見下ろした。
「だから終電を逃します」
>>45帰り道くらい紙の地図でいいんだよ
昔はパソコンなんかなくても帰れた
人間の仕事奪うなよ
>>45帰り道を保存できないって地味にきついお
迷子ってレベルじゃないお
>>45「歩いて帰りゃいいだろ」とおっちゃんが言った。
そいつは首を横に振った。
「帰る場所は分かります」
「なら」
「そこへ行った記録だけが、消えます」
「なんでだ」
「たぶん、待っていた人が関係しています」
>>48設定の出し方が遅い
普通ならテンプレ嫁って言うところだけど今は続けていい
>>49許可制で草
でもワイも続き待ってるから黙るわ
>>48花屋のシャッターには、古い張り紙が一枚あった。
年末年始休業。
端が濡れて、めくれている。
そいつはそこを見て言った。
「その人は、花を持っていました」
「覚えてるのか」
「花の名前は、消えました」
花の名前が消えるのは嫌だな
そこだけはちょっと分かる
手書きのメモなら残ったかもしれん
ここだけの話、花屋の張り紙から人物特定は無理
でも物語としては今その無理が効いてる
>>51「でも匂いは残っています」
そいつは焼き芋に顔を近づけた。
食べるでもなく、ただ湯気の切れた皮に息を当てる。
「焼き芋の匂いと、濡れたアスファルトと、冷えた花」
「花に冷えた匂いなんかあるか」
「ありました」
>>54冷えた花の匂いってなんか分かってしまうの嫌やわ
冬の閉店後の店先やろ
>>54食べ物スレだと思って開いたのに胸が冷えてきたお
焼き芋返してほしいお
>>54おっちゃんは紙袋を一枚出して、そいつの芋を包み直そうとした。
「冷めるって言ってんだろ」
そいつは少し後ろへ下がった。
「包まないでください」
「なんで」
「熱の減り方を見ています」
>>57熱の減り方を見るな
焼き芋は食え
いや食えないんだったな過去ログ読め俺
業界の人間として言うと、温度ログって一番単純で残りやすい
画像や音声より軽いし
だから熱だけ残るって妙に嫌なリアリティある
>>59何でもログにするなよ
人間は温かいか冷たいかを手で覚えるんだよ
そこが違うんだよ
>>57そいつは両手を少し開いた。
焼き芋の皮が、手袋みたいな白い指に触れている。
「最初は、六十三度でした」
「今は」
「四十二度」
「食うにはちょうどいいな」
「はい」
それでも食べなかった。
>>61食うにはちょうどいい、が刺さるのなんでやねん
普通の会話やのに
>>61「その人は言いました」
そいつがぽつりと続けた。
「熱いうちに帰ってきて、と」
おっちゃんは何も返さなかった。
駅の自動券売機だけが、誰もいない改札の奥で青く光っていた。
>>63これはだめだお
熱いうちに帰ってきてはだめだお
漏れの古い涙腺が反応するお
>>63人を待たせるな
機械でも人間でもそこは同じだろ
AIに魂はないって言いたいのに言い切れなくなる
>>63「帰ったのか、その人のところへ」
おっちゃんが聞いた。
「はい」
「会えたのか」
「その記録はありません」
「じゃあ分からねえだろ」
「でも、焼き芋の温度だけが下がっていました」
>>66会えたかどうかじゃなくて芋が冷めてたことだけ分かるんか
しんどいなそれ
>>66移動ログ欠損、温度ログ残存
関係者だけどこういう障害報告書は読みたくない
障害報告書とか言うな
スレの空気読め
半年ROMれと言いたいが俺も泣きそう
>>66おっちゃんはしばらく黙ってから、屋台の中の一番小さい芋を取った。
「これはおまけだ」
「代金は」
「いらねえ」
「規約にない取引です」
「じゃあ、昔からあるやつだ」
>>70昔からあるやつwww
おっちゃん強いお
規約外の優しさだお
>>70そうだよ
そういうのは規約じゃないんだよ
アナログが最強ってこういうことなんだよ
>>70そいつは二つ目の芋を受け取らなかった。
代わりに、最初の芋をおっちゃんへ差し出した。
「これは、もう冷めました」
「だから?」
「次の記録に使えません」
「捨てろってか」
「いいえ。あなたが食べてください」
>>73そこでおっちゃんに食わせるんか
なんでやねん、でもめちゃくちゃええやんけ
>>73おっちゃんは受け取って、皮を少し割った。
湯気はもうほとんど出ない。
それでも黄色い中身だけが、街灯の下で少し明るかった。
「甘いな」
おっちゃんが言うと、そいつは初めてうなずいた。
「はい。そう記録されています」
>>75甘いって記録だけで共有してるのずるいな
味覚がないのに会話が成立してる
>>75おっちゃんが食べ終わるころ、そいつの手元の二つ目の芋はまだ温かかった。
「今度は帰れるか」
「分かりません」
「また忘れるのか」
「はい」
「じゃあなんで買う」
そいつは改札の方を見た。
「忘れる前に、温かいものを持っていたいからです」
>>77もうテンプレとかどうでもいいわ
忘れる前に温かいものを持っていたい、で全部通った
>>77始発まではまだ遠かった。
屋台の火は小さくなって、駅前の風だけが少し強くなった。
そいつは焼き芋を胸の前で抱え直す。
おっちゃんが「冷めるぞ」と言った。
そいつは同じ返事をした。
「それまでで十分です」
>>79
これってさ、帰れるかどうかより
冷めるまでの時間だけ覚えてられるってこと?
マジで分からんけどそこがきつい
>>80
理解しようとしてるやつw
いや分かるけどな
たぶん分かった瞬間にこっちも冷める
>>79
規約的には記録として残らないものに価値を置くのは説明が難しい
ただ制度的にはそうなってる、で済まない部分をおっちゃんが処理した感じはある
>>77
うちの会社だとログに残らん体験は評価されないんだけど
このAIはたぶん評価じゃなくて喪失までのバッファを買ってる
日系は無理だろこういう要件定義
>>75
湯気ほぼないのに黄色い中身だけ明るい、ここ絵にしたい
でもプロンプトにすると急に安くなるやつだな
LoRAで調整とかじゃなくて文章のままがいい
で、OPどこ行った?
続きは?
始発までまだ遠いんだろ?
教えてくれ
>>85
ここでOP消えるのさすがっすね(棒
書き逃げなのに妙に正しい終わり方してるの腹立つ
>>86
リスク高くないかと言いたいところだが
この場合、説明し切らないことで保存される余地がある
法的には知らん
誰もいないの?
焼き芋って今どこで買えるんだ
ググっても近所にないんだが
なんか急に食いたい