【怪談SS】深夜の自販機、押すたびに知らない季節と“昔の名前”を返してきた結果…最後の一本がヤバすぎる
春の夜、自販機で缶コーヒーを押したはずが夏祭りのラムネが出てきた。そこから始まったのは、四季の飲み物ではなく“知らないはずの記憶”と“自分だけの呼び名”が混ざり合う、静かで最悪な深夜実況だった。
春の夜なのに、温かい缶コーヒーを押したら夏祭りのラムネが出てきた。次は秋のコンポタ、その次は冬の見たことない白い飲み物。静かな話になると思うけど、読んでくれるなら続ける。
味は牛乳じゃなかった
甘いのに、最後だけ息が白くなる朝みたいな味がした
あと飲んだ瞬間、自販機の蛍光灯が一回だけ落ちて、誰もいないのに後ろで咳払いがした
自分の記憶かって言われると微妙だ
さっき秋のコンポタ飲んだ時に浮かんだ廊下、たしかに学校っぽいのに見覚えはない
なのに『ここで誰かを待ってた』感じだけある
顔とか名前は出てこない
録音はやってみる
あともう一回だけ押した
今度はあったかいココアのボタンで、出たのは冷たい薄い緑の缶だった
味は甘くないのに、雨上がりの土と新品の制服みたいな匂いがした
春っぽいけど、知らない朝だった
今、1日目から帰ってきた
21:13に温かいお茶のボタン押して出たのは紙パックのいちごオレだった
紙パックの横にマジックで薄く名前みたいなのが書いてあって、昔うちの祖母だけが俺を呼んでた呼び名だった