【戦慄】押し入れから出てきた平成ゲーム機、セーブデータが現実を侵食し始める
夏休み最後の日、実家の押し入れから見つかった古いゲーム機。懐かしさだけで終わるはずの深夜実況は、兄の過去と謎の名前「ミナト」に引きずられていく。
眠れないから短く書く。
実家の押し入れを漁ってたら、兄貴が昔使ってたゲーム機と知らないセーブデータが出てきた。
ゲームのタイトル画面が出た。
夏休みを過ごすゲームだった。
虫取り網を持った子供が、田んぼ道に立っている絵だった。
兄貴がやっていた記憶はない。
日記を読んだ。
8月24日。
「ミナトがきた。兄ちゃんはぼくより背が高い。妹はずっと麦茶を飲んでいた」
そう書いてあった。
写真みたいな絵を開いた。
畳の部屋だった。
ブラウン管テレビの前に子供が三人いた。
一人は兄貴に似ていた。
一人は知らない男の子だった。
もう一人は髪の短い女の子だった。
9月1日のページには、こう書いてあった。
「夜、妹は眠れなかった。押し入れの奥を開けた。布団の下の箱を見つけた」
ここで手が止まった。
今いる部屋の押し入れにも、布団が詰まっている。
昨日乗せた客がな、平成のゲーム機を実家から持ってきたって話をしてた。
駅前通りで降ろしたんだが、ずっと「セーブ消せない」って言ってた。
酔っ払いはタチ悪いと思って流したけど、今読むと変な感じするわ。
ファイルを選んだ。
ゲームではなかった。
文字だけの画面だった。
「これを読んでいるなら、押し入れの箱を開けたんだと思う」
最初の行はそれだった。
写真立てを外した。
裏に古いプリクラが挟まっていた。
三人写っていた。
兄貴。
知らない女の子。
奥に、こっちを見ている男の子。
画面の絵と同じ並びだった。
続き書く。
「夏休みの最後の日、お前を置いて行ったことを謝る」
「母さんに怒られたとか、友達に呼ばれたとか、そういう話じゃない」
「俺は、お前が楽しそうなのを見るのがしんどかった」
便箋の中ほどに、ミナトのことが書いてあった。
「ミナトは俺が作った」
「でも、ばあちゃんは見えてるふりをしてくれた」
「だから本当にいるみたいになった」
テープの最後に、祖母が笑った。
「夏休みは終わるけど、家は終わらん」
「帰ってきたら、麦茶を出す」
そこで録音は切れた。
悪い、横からだけど
俺このセーブ画面見たことある
というか同じタイトルの同じ名前のデータ、実家にある
ミナトって名前も出る
兄貴の友人から、もう一度電話が来た。
「スレを閉じろ」と言われた。
その直後、知らないIDからメールが来た。
件名は「お前用」だった。