【悲報】終電後の自販機に泣かされてたら、まさかの広告企画だった件www
終電を逃した深夜、駅前の自販機が突然「まだ早い」と話しかけてきたという>>1。怪談か恋愛回想かと思いきや、スレは最後にとんでもない方向へ転がっていく。
『あったかい缶コーヒーはまだ早い』って言われた。俺しかいない駅前で。ちょっと書いてく。
自販機に季節感で説教されるの草w
録音を開始した。
そのとき、取り出し口の奥で金属が鳴った。
声はさっきより低かった。
『帰る道を温めるな』と言った。
商品名の札が少しずれて見えた。
水の下には、薄く『駅前』。
緑茶の下には『橋』。
ブラックコーヒーの下には『タクシー』。
スポーツドリンクの下には『電話』。
印刷ではなかった。
中から光っていた。
ブラックコーヒーのボタンに指を置いた。
押す前に、販売中の赤いランプが消えた。
『そこはまだ早い』
最初と同じ声だった。
さっきより近かった。
スマホの履歴を確認した。
23時41分の着信はなかった。
通知もなかった。
録音アプリは動いていた。
波形は平らだった。
声だけが録れていなかった。
黒い缶の売切ランプが一度だけ消えた。
ボタンの下の札が変わった。
『終電前』
それを読んだ瞬間、自販機が言った。
『そこから思い出せ』
映像の中の俺は頷いた。
女は少し笑った。
その笑い方を知っていた。
別れる時の顔だった。
怒っていない顔だった。
怒っていないことが、いちばん遠かった。
自販機のランプが順番に点いた。
緑茶。
水。
スポーツドリンク。
黒い缶コーヒー。
黒い缶だけ、価格の表示がなかった。
代わりにこう出た。
『言えなかったこと』
再生されたのは雑音だった。
駅のアナウンス。
発車ベル。
靴音。
その下に、俺の声だけが入っていた。
『もういい』
俺はそう言っていた。
自販機が言った。
『あったかい缶コーヒーはまだ早い』
最初と同じ言葉だった。
ただ、声が違った。
女の声だった。
映像の中の俺は、それを聞いていなかった。
昔の俺がタクシーに乗るところで、画面が暗くなった。
液晶に、今の俺の顔が戻った。
手には、まだ冷たい水があった。
自販機が言った。
『のど、乾いてたでしょ』
ここまでが1話目だった。
正確には、深夜広告用に書いたPR台本の第一稿だった。
駅前の自販機も、終電後の記憶も、全部企画書に入っていた。
企画は通らなかった。
理由は、商品が最後まで出てこないからだった。
担当者は、もっと早く缶を開けてほしいと言った。
俺はそのまま戻さなかった。
冷えたなw
あったかい缶コーヒーはまだ早いってそういう意味かよw