【悲報】終電逃しただけの男、廃映画館で“自分の人生”を上映されてしまう
終電を逃した>>1が、なぜか入口の開いていた古い映画館へ。無人のはずの館内で始まったのは、本人すらまだ知らない“次の行動”を映す上映だった。
暇だから書く。さっきまで飲んでて終電逃したんだが、潰れたと思ってた古い映画館の入口がなぜか開いてた。
靴の音が通路に響いた。
三歩くらい進んだ時だった。
背中の方で、小さく音がした。
振り返ると、さっきの「上映中」のランプが点いていた。
赤い光だった。
通路から戻ろうとして、足元に何かが当たった。
拾うと半券だった。
紙は厚く、端が丸まっていた。
日付は読めた。
十二月二十四日。
年はかすれていた。
スクリーンに光が入った。
最初は灰色だった。
次に、細い縦線が何本か走った。
それから暗い映像になった。
どこかの廊下が映っている。
スマホで拡大した。
紙には手書きで文字があった。
「本日の上映」
その下に、小さく
「一名様」
と書いてある。
スクリーンの中のロビーを、人影が横切った。
背格好は俺に近かった。
黒い上着。
片手にスマホ。
人影は売店の前で止まった。
スクリーンの中の俺らしき人影が、席に座った。
番号1の席だった。
画面の中でスマホを持ち上げた。
その画面に、今このスレが映っていた。
画面の中のスレは、俺のスマホより少し先まで進んでいた。
まだ表示されていないレスがあった。
>>96
立つな
と書かれていた。
>>94
立つな。
ほら書いてやったぞ。
映画館さん、脚本協力費ください。
半券をスマホのライトで照らした。
紙は黄ばんでいた。
端に数字が印字されていた。
147
と読めた。
一列目の通路側から順に、名前が出ていた。
深夜のテンション
技術オタク
自称小学生
皮肉屋
占い師
その隣に、空白の席が一つあった。
機内モードにした。
電波の表示は消えた。
スクリーンの中のスレは、そのまま流れていた。
まだ俺のスマホには届いていないレスが、画面に増えていった。
通路を上がった。
途中で、後ろから音がした。
拍手だった。
誰も座っていない客席から、乾いた拍手が一斉に鳴った。
最後のページを開いた。
日付が書いてあった。
今日の日付だった。
上映作品の欄には「終電を逃した俺」と書かれていた。
スマホを見た。
時刻は午前一時八分だった。
終電は、まだ四分後だった。
さっき逃したはずだった。
ここまでが1話目。
始発に乗った。
座席に座ってから半券をもう一度見た。
整理番号210。
上映作品名の欄には、俺のスレタイトルが印字されていた。